スキップしてメイン コンテンツに移動

「美しい国、日本」

  「美しい国、日本」、人それぞれ多様な解釈があると思う。 私も含めて多くの人々は、その言葉の響きから、豊かな自然と文化に囲まれて、人々が暮らしやすく質の高い生活を営む国というイメージを脳裏に浮かべるではないか。  


  平成2510月現在の日本はどうだろう。 東京都心では覇を競うように高層ビルが続々と建設されているが、宅地には未だに電柱が立ち並び、上空にはクモの巣の様に電線が走る。 狭い道路を人や自転車が触れ合うほどの状態で行き交う。 ラッシュアワーの時間帯に踏切で10分待たされることなどは、50年一日の如しの感がある。社会保険の適用条件が徐々に厳しくなり国民に変化を強いている。 最近は特定機密保護法案と称する法律が成立する勢い、我が国はその昔にタイムスリップしつつあるのではないかとの危惧感も頭をよぎる。 オリンピック招致に成功し、「おもてなしの心」が強調されることが多くなってきた。 あえて「おもてなしの心」と言わなければならない時代に息苦しさを覚えるのは私だけだろうか。 教育問題もある。 地方法人課税も見直されて一部国税化されるそうだが、つい先ごろまで声高に謳われた地方分権の強化に逆行しているように思う。

  1970年代後半、米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏著による「Japan As Number One」で浮かれたこともある 然し、その後の我々は、「失われた20年」そして未だに「停滞する20余年」でもたもたしている。この間の世界の変貌は凄まじく、 今や中国は世界第二位の経済大国。 電子機器産業も韓国、台湾が世界市場で活躍している。中国ハイアールの躍進も目覚ましい限りだ。 ならば、日本もかつての勢いを取り戻すべく従来の土俵で力をつけて挑戦するのだろうか。 企業活動を活性化することはとても大切なことだが、従来の様な大企業主導ではなく、今こそ、そこここで芽生え始めている草の根技術開発を育てて行く、中小企業の有する底力を引き出すことが重要だろう。 これにより我が国は、従来と異なる新たな企業活動分野を構築するべきだと思う。 

  様々なことが脳裏に浮かび取りとめない思いに駆られていたら、先日1018日東京新聞夕刊にJT生命誌研究館館長中村桂子氏が「日本は先進国なのか・・・自分らしい生き方困難に」という文章を書いておられる事を思い出した。 氏の考える先進国の最低条件は、一極集中でないこと、食糧自給率が高いこと、コミュニティスポーツや文化が確立していること、街並みが美しいこと(歴史・文化を踏まえて)の4つを挙げておられる。 同感だ。 「美しい国、日本」の最低条件でもあると思う。 この4つを実現するだけでも、50年、いや100年かかるかもしれない。 国家100年の計、政治家だけに委ねて済む話ではないことだけは明らかだが、さて。

10/23/13

(註)上述の中村桂子氏の文章の写しをここに貼り付けておく。



コメント

このブログの人気の投稿

日本のものづくり力の行方?

昨日配達された「週刊朝日2017年9月29日」に「自動車の世界市場で日本勢包囲網 - ”一強”トヨタも絶体絶命」というかなり刺激的な記事が掲載された。少し乱暴かもしれないが、我が国の大企業は、既存の系列企業との関係や莫大な開発費をかけて従来から培ってきた既存技術へのこだわりなど様々なしがらみから抜け出せずもがいているうちに、ドイツをはじめ海外自動車産業界はEV化へ向けて着々と手を打っているぞ、という、日本の自動車産業に対して強く警鐘を鳴らす内容である。  その中で、注目を引いたのは、「『我々が直接クルマを作る必要があるのか』。VW社内では今、こうした議論が盛んという。 あまり知られていないが、実はVWが自らクルマを作らなくても、立派に生産できる仕組みをドイツの自動車産業は持っている。 量産以外の開発から試作までを請け負うエンジニアリングサービス会社が台頭しているからだ。ドイツのFEV社や隣国オーストリアのAVL社などで、その開発能力はVWにも負けない。 実際、ホンダが新型シビックのエンジンをAVLに開発委託したほどだ。」という。 そして、ドイツのバーチャル設計力とシミュレーション技術力に対し、日本はそれらを軽視してきたことが、自動車王国日本がEV化への対応に大きく遅れた原因ではないかと(筆者理解要約)。 ドイツのみならず、フランスとイギリスがガソリン車の販売禁止策を打ち出し、中国もEVへの移行を決めて、米国もテスラモーターズに代表されるようなEV化への流れがほぼ確実である。   なぜこうなるのか、なぜ日本のEV化への動きがこうも鈍いのか。 ドイツは、2006年に「ハイテク戦略2020」を定め、そのアクションプランとして2011年に「インダストリー4.0」政策を発表し、爾来、IoTやAI技術、ソフト開発技術などの先端技術を用いてドイツの産業構造そのものを大きく変える努力をしてきた。 日本は、2011年3月11日の大震災と福島第一原発事故という大変不幸な事態に直面したことが、先進技術による産業構造変革へ向けて大きく踏み出す力を削いだことは否めないとは思う。 だが、しかしその時こそ、日本の未来を見据えてこの国をどうするかを考え行動に移す貴重な機会の筈であったが、未だにその歩みは極めて遅い。モノづくりの国、日本には、素晴らしい技術が多くあり、個々の要素技術を集積すれば欧米に…

世界を相手に

私は、長い間、スタートアップ企業を含む多くの欧米中小企業と関わりを持ってきた。彼らにいつも感心させられることは、常に世界を相手に仕事をしようとする姿勢である。 
 多くの日本企業も世界で活躍してはいるが、その大半は多国籍大企業である。海外で活躍する中小企業は少なく、情報発信量も極めて少ないs そのことについては、このブログでも幾度か述べてきた。今日の新聞を読んでいたら、「メトロポリス」という情報媒体を運営しているニール・バトラー氏が同じような趣旨のことを指摘していた。


東京新聞2017年11月5日13面
 そこには言語の壁もあるが、世界に向けて自らを開く事に消極的、よく言えば無口で奥ゆかしい、或いは沈黙は金といった日本人の心持にもある。  バトラー氏のように我が国の国際化の遅れを指摘する外国人は多い。「国際化」は、長年の課題であり、今この時にも焦眉の急の課題であるのだが。ゆでガエルにならないことを祈るばかりである。

ピラミッド建造方法の謎

今日午後9時からのNHK総合テレビ番組、「NHKスペシャルーピラミッド 隠された回廊の謎」は古代エジプト建築技術の一端を垣間見てとても刺激的であった。

エジプトギザの3大ピラミッド5000年前に作られたというがその建設方法は未だに謎。 世界遺産にも登録されている「クフ王の大ピラミッド」は、高さ147メートル、底辺の長さ230メートル、平均2.5トンの石を300万個積み上げられ、地上60メートルの場所には、重さ60トンもの巨石も使われてるという。 フランスの建築家ジャン・ピエール・ウーダントいう人が10年前の1999年からこの謎の解明に挑戦、建築家としての知識と技術を駆使して、謎の解明へつながる可能性のある一つの説を発表したという。 

それは、「内部トンネルを使って建設した」という独特のものだ。 内部トンネルはピラミッドの周辺を勾配4度で昇る回廊状のもの、其の回廊の中を通して2.5トンの石を人間が引き上げて行く。 石が積み上がるごとに回廊は上へ伸びて行く。 それでも最上段に位置する部屋の天井に使われている60トンもの大きな石は運べない。 これは、別の急勾配の内部トンネル内を釣り合い重りを有する人力エレベータにより引き上げたという。 この説を、裏付ける新たな発見が幾つか見つかり、又、専門家がコンピュータでシミュレーションを行い、建築・機械工学的には実現可能であるとのこと。 

この話はあくまで、人類長年の謎に迫る一つの説であり、未だ完全に実証されたわけではないが、今もなお砂漠にそそり立ち世界遺産となっている巨石建造物ピラミッド、5000年後の今、それが存在し続けること自体が驚異だが、どのように建造されたのか、考えるだけでもわくわくする。 現代建築で5000年後の未来にも形をとどめているものがはたしてどの位あるのだろうか。 先日書いた「芸術としての建築」と考え併せてみると又別の興味がわいてくる。 そして、ピラミッド建造時に使われたエレベータの基本原理は、5000年の時を経ても現代エレベータの作動方式の根幹をなしていることは、”技術・テクノロジー”の普遍性を改めて考えさせてくれる。

7/5/09