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シリコンバレー詣での他には?

  「米シリコンバレーに今後 5 年で起業家 1000 人規模派遣へ 経産省」の文字が幾つかの大手ネットメディアで踊ります。例えば、 7月28日付日本経済新聞電子版 には 、「訪米中の萩生田光一経済産業相は 27 日(日本時間 28 日)、米シリコンバレーでグーグル本社などを視察し、『えりすぐりの挑戦者をシリコンバレーに派遣するプロジェクトを抜本的に拡充する。』と表明した。現在の年 20 人規模から 10 倍にし、 5 年で計 1000 人をめざす。」とありました。 この萩生田大臣(当時)の発言は、 2015 年4月30日 - 5月1日にシリコンバレーを訪れた安倍首相(当時)が同地で述べた 「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト 」 を更に前進させるものなのでしょう。 シリコンバレーに日本の起業家や中小企業人を送り込むという話はそれなりに衝撃的な内容であるためその都度比較的大きな話題になります。  しかしどうでしょうか。我が国では随分前からシリコンバレーへ人を送ってきており(主に大企業からの派遣だと思いますが)、すでに同地のカルチャーや企業手法とそのスピード感を知る人材は我が国にも多く存在していると思います。政府主導の国家プロジェクトとして1000人規模で人をシリコンバレーへ送ることに反対するつもりはありませんが、ぼつぼつ工夫が必要なのではないかと思います。例えば、派遣するならシリコンバレーだけではなく、イスラエルやフィンランドなどのベンチャー企業を多く生み出す国々を知る人材を増やすことも重要でしょう。又、単なる派遣だけではなく、日本で起業家が育つ環境づくりや支援方法を構築する必要も あるでしょう。併せて、最近減少傾向にある海外留学生を増やすことも早急に手を打つべきだと思います。   シリコンバレーというとすぐベンチャー企業、起業家という話になりがちですが、我が国の在来中小企業の中には欧米をしのぐ実力で高品質のものを素早く製造する企業も多くあります。しかし最近は、急激な原材料価格の高騰、資金繰り問題、後継者問題など様々な理由で事業撤退あるいは海外企業へ事業を売却するなどのケースが散見され誠に残念に思います。これらの企業を支援しつつ彼らが築き上げた優れた技術を更に磨き上げ永続できるような支援もあってよいのではないかと思います。例えば、下請的地位からの脱却を...

日本のものづくり力の行方?

 昨日配達された「週刊朝日 2017 年 9 月 29 日」に「自動車の世界市場で日本勢包囲網 -  ” 一強 ” トヨタも絶体絶命」というかなり刺激的な記事が掲載された。少し乱暴かもしれないが、我が国の大企業は、既存の系列企業との関係や莫大な開発費をかけて従来から培ってきた既存技術へのこだわりなど様々なしがらみから抜け出せずもがいているうちに、ドイツをはじめ海外自動車産業界は EV 化へ向けて着々と手を打っているぞ、という、日本の自動車産業に対して強く警鐘を鳴らす内容である。  その中で、注目を引いたのは、「『我々が直接クルマを作る必要があるのか』。 VW 社内では今、こうした議論が盛んという。 あまり知られていないが、実は VW が自らクルマを作らなくても、立派に生産できる仕組みをドイツの自動車産業は持っている。 量産以外の開発から試作までを請け負うエンジニアリングサービス会社が台頭しているからだ。ドイツの FEV 社や隣国オーストリアの AVL 社などで、その開発能力は VW にも負けない。 実際、ホンダが新型シビックのエンジンを AVL に開発委託したほどだ。」という。 そして、ドイツのバーチャル設計力とシミュレーション技術力に対し、日本はそれらを軽視してきたことが、自動車王国日本が EV 化への対応に大きく遅れた原因ではないかと(筆者理解要約)。 ドイツのみならず、フランスとイギリスがガソリン車の販売禁止策を打ち出し、中国も EV への移行を決めて、米国もテスラモーターズに代表されるような EV 化への流れがほぼ確実である。   なぜこうなるのか、なぜ日本の EV 化への動きがこうも鈍いのか。 ドイツは、 2006 年に「ハイテク戦略 2020 」を定め、そのアクションプランとして 2011 年に「インダストリー 4.0 」政策を発表し、爾来、 IoT や AI 技術、ソフト開発技術などの先端技術を用いてドイツの産業構造そのものを大きく変える努力をしてきた。 日本は、 2011 年 3 月 11 日の大震災と福島第一原発事故という大変不幸な事態に直面したことが、先進技術による産業構造変革へ向けて大きく踏み出す力を削いだことは否めないとは思う。 だが、しかしその時こそ、日本の未来を見据えてこの国をどうするかを考え行動に移す貴重な機会の筈であったが、...

中小企業の情報発信

世間でよく言われるように、米国には、サンノゼ、サンフランシスコ、ダラス等を筆頭にいくつもの、科学・技術開発のエネルギーが充満・噴出している地域があります。欧州の小国フィンランドでさえも、ヘルシンキが技術の集積地となり、海外から続々と才能が集まるようになっています。 これら海外都市が先進技術の湧出地になっているのは、様々な要因があり、我が国のように年次予算ベースで動く官公庁主導のやり方に依存するだけでは時間もかかり、たとえ時間がかかっても世界の頭脳を呼び込み、融合して新たな技術を切り拓く力を醸成することは中々難しいのではないかと感じています・・・官公庁主導でも、無論何もしないよりはるかに良いですが。 自ら申し出てくる企業やその製品のマーケティング支援は、大切ですが中小企業レベルでも優れた技術を持つ我が国の潜在力をもっと世界に向けてアピールすることはできないものかと思います。「日本の製品、技術は優れている。必要なら探しに来い。」では、大半の中小企業の技術は、世界はおろか日本国内においてさえも限られた人、取引先企業だけにしか知られていないということになります。  半年ほど前(2016年2月17日)放映の NHK のローズアップ現代 で紹介されていた日本で3割の市場占有率を誇る、愛知県の白墨(学校で使用する黒板用チョーク製造メーカの社長さんが、ご自分が高齢となり後継者も見つけられず、他方、自社の価値も測ることが出来ず、先代を含めて80年以上続いた事業の廃業を決意、製造設備と製品のノウハウを韓国企業に売却したそうです。 その韓国企業は、中国市場を狙い事業拡大を確かなものにしているとのことで、日本人としては誠に残念なことです。 スタンフォード大学の数学の先生などは、その日本企業の白墨の品質(はっきりと滑らかにかけるが決して折れたりしない)を高く評価し、彼の授業の必須アイテムであり足りないことが怒らないように大量にまとめ買いをしているとのことです。   このチョークの例は、少々身近すぎる話で一話完結ですが、埋もれている技術も他者の目で見ると、自分では気づかない価値が見いだされることは頻繁に起こり得るわけです。 この価値を見えるようにするということは、先ずその情報が発信しなければなりません。 資金力もなく、自らがすぐれた技術を有するわけでもなく、馬...

ものづくり中小企業間の協業と共創

 1990年以降長い間、我が国には、世界を変えるような革新的な技術や製品が生まれる環境が整っていないと言われ、 「破壊的創造」や「イノベーション」の必要性も言い尽くされた感がある。 では、その言葉自体も古びてあまり使われなくなった今、果たして、日本は変わったのだろうか。否、IoTとかAIという新しい言葉が表れて来てその応用面における議論や新たなサービスに関する話題はにぎやかになってきた。  しかしながら、我が国は 相変わらず 新しい技術や製品・サービスをもって世界に大きな影響を与えるような状況に至っていないのは残念なことである。 なぜそうなのか、多くの論者がその理由を語り様々な提案をされているのでここでそれを復唱するつもりはない。  今から5年程前に、東日本大震災のあった年、筆者が属するチームの仲間たちと【 東日本大震災復興以降ー新しい社会の創生へ向けて 】というテーマで小論をまとめたことがある。その小論の中で筆者は「総合知の活用で活力ある社会を実現」と題して、情報通信技術(ICT)を活用した「智のプラットフォーム」を前提に、「ものづくり」、革新的な技術・製品・サービスの発掘、人の生活などの点描を試みた。  当時を振り返り検証するという名目で、今年、2016年5月より5回連載で月刊誌「BigLife21」が、その小論を掲載してくれた。同拙文の中で、ものづくり中小企業が連携し共創を試みることにより、中小企業ならではの短い期間で素晴らしい物を生み出すことが出来るのではないかと書いた。この考えは今でも変わらず、是非実現に向けて動き出してほしいと思う。 「BigLife21]2016年7月号に掲載された拙文を下記に添付しておく。また、同文が「BigLife21」のウェブサイトにもアップされている。URLは 此方。

製造業の存続

昨日(10月3日)付け東京新聞朝刊 7 面に掲載されたコラム記事(斉藤保伸氏記ーーー当該記事は本文下段を参照)、「シンセサイザー製造活気」というタイトルで、「 YMO やスティビー・ワンダー さんなど、世界の著名ミュージシャンが愛する米シンセサイザーメーカーの『モーグ』が経営難を抜け出し、活気を取り戻している。」とある。  同社( モーグミュージック社: Moog Music Inc . )では、従業員を大切にすることを心がけ、ベルトコンベアもなく手作りでシンセサイザーを組み立てている由。同社社長が米国国内生産にこだわる理由は、「生産する楽器に日々、改善を加えることができること」とし、「中国などの海外に工場を移しても人件費削減の影響は小さく、製品の改善がストップすることのほうがマイナスと判断し、国内に製造拠点を置いて経営改革に取り組む」という。同社は非上場企業だが、同社株式の 49 %を従業員に譲渡し、また、すべての経営情報を開示する経営会議を毎月開催、全従業員で共有、経営の透明性を高めて最近 12 年の平均売上高は対前年比 2 割増しで推移しているとのことだ。  世界市場において確立したブランドを持つ企業、モーグミュージック社のような経営スタイルがすべての企業に当てはまるわけではないだろうが、我が国製造業が学びなおす点は多い。あえて、「学びなおす」と記述したが、「従業員を大切にする」、「日々製品に改善を加える」、「従業員持ち株制度」などは、かつて日本企業の特徴を表す言葉であったように思うからだ。 米国のいくつかの州では、時間当たり最低賃金が数年以内に 15 ドル( 1 ドル 120 円換算で 1800 円 / 時)となる見通しで、2020年には全国規模で適用する動きが顕在化しているとのことだ。 対する我国は東京地域でも 900 円強とのこと。 それでもさらなる低賃金を求めてか、海外に製造をゆだねる企業も多い。結果として国内雇用を減らすのみならず、製造技術の流出・喪失にも繋がる。ここでは、企業の在り方を論ずるつもりはないが、日本の製造業の存続と発展の要件をじっくりと考えてみる必要がある。 2015年10月3日付け東京新聞朝刊7ページ

「美しい国、日本」

  「美しい国、日本」、人それぞれ多様な解釈があると思う。 私も含めて多くの人々は、その言葉の響きから、豊かな自然と文化に囲まれて、人々が暮らしやすく質の高い生活を営む国というイメージを脳裏に浮かべるではないか。     平成 25 年 10 月現在の日本はどうだろう。 東京都心では覇を競うように高層ビルが続々と建設されているが、 宅地には未だに電柱が立ち並び、上空にはクモの巣の様に電線が走る。 狭い道路を人や自転車が触れ合うほどの状態で行き交う。 ラッシュアワーの時間帯に踏切で 10 分待たされることなどは、 50 年一日の如しの感がある。社会保険の適用条件が徐々に厳しくなり国民に変化を強いている。 最近は特定機密保護法案と称する法律が成立する勢い、我が国はその昔にタイムスリップしつつあるのではないかとの危惧感も頭をよぎる。  オリンピック招致に成功し、「おもてなしの心」が強調されることが多くなってきた。 あえて「おもてなしの心」と言わなければならない時代に息苦しさを覚えるのは私だけだろうか。 教育問題もある。 地方法人課税も見直されて一部国税化されるそうだが、つい先ごろまで声高に謳われた地方分権の強化に逆行しているように思う。   1970 年代後半、米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏著による「 Japan As Number One 」で浮かれたこともある 然し、その後の我々は、「失われた 20 年」そして未だに「停滞する 20 余年」でもたもたしている。この間の世界の変貌は凄まじく、 今や中国は世界第二位の経済大国。 電子機器産業も韓国、台湾が世界市場で活躍している。中国ハイアールの躍進も目覚ましい限りだ。 ならば、日本もかつての勢いを取り戻すべく従来の土俵で力をつけて挑戦するのだろうか。 企業活動を活性化することはとても大切なことだが、従来の様な大企業主導ではなく、今こそ、そこここで芽生え始めている草の根技術開発を育てて行く、中小企業の有する底力を引き出すことが重要だろう。 これにより我が国は、従来と異なる新たな企業活動分野を構築するべきだと思う。    様々なことが脳裏に浮かび取りとめない思いに駆られていたら、先日 10 月 18 日東京新聞夕刊にJT生命誌研究館館長中村桂子氏が「日本は先進国なのか・・・自分らしい生き方...

創造力と活力の源泉となる場を設ける・・・

イスラエルの人口は僅か780万人程度だがそこには、数多くのベンチャーキャピタル( VC )があり、優れたアイディアと技術を有する若い企業が世界に羽ばたいて行く。  その数ある VC の中でも最大手の一つ JVP Fund 、そのエルサレムに本拠を構える VC としての機能を包み込むように、 JVP Media Quarter がある。  JVP Media Quarter は、 JVP Fund の創業者 Erel Margalit 氏が、技術、創造性、社会活動の融合を実現し興奮に満ち活力に溢れる場を設けようと、 2002 年にその構想を描き、翌年からその実現へ向けて動き出した。  2006 年には英国統治時代に建てられたビルを改修し、エルサレムの旧鉄道駅周辺の活性化も実現する大がかりな作業に着手、 2008 年に現在の姿が完成した。 そこにはバウハウス様式の美しい姿のビルがあり JVP Fund, JVP Media Labs, JVP Community がある。  JVP Fund は文字通りベンチャー企業に対する資金的支援がその業務、 JVP Media Labs は生まれたての企業を育てて行くインキュベーションをその主たる業務とし、そのもとに集まる多くの若い企業が JVP Media Quarter 内に事務所を構える。 そして JVP Community は、何某かのハンディキャップを有する子供に対する教育上の支援、社会生活の為の予備的支援、それらの子供の親たちに対するアドバイス等広く考えられたプログラムの提供、若い音楽家、芸術家の表現の場所などが提供されている。 驚くべきことは、 JVP Media Community の実質的な活動が徴兵前の若者によるボランティア活動により支えられているという事だ。 この様に、若い企業が生まれる環境を作り、育て試験的支援を行う一方、ハンディキャップを有する、潜在的な社会的弱者を子供の時から支援して行くシステム、 JVP Media Quarter の資料を読んでいて、今こそ日本にもこの様な仕組みが必要ではないかと、つくづく思う。  おりしも、 7 月 15 日朝日新聞朝刊「ザ・コラム」に渥美好司氏(朝日新聞福島総局長)が専修大学広瀬教授の言葉として「希望のある社会とはどの様なものかを想像...

企業間水平分業・協業へ向けて

下記は、21世紀 の日本が取るべき道の一つではないかと思っています。 未だ漠としたアイディアの段階ですが実現へ向けた試行 実験をするところまで、もって行きたいものです。 ==================================== 最近まで我国技術・製造にかかわる企業はその大半である中小企業も大企業に寄り 添う事で比較的安泰な時代が続いておりました。 それは主に、大企業が率いる系列、 或いはエンジニアリング会社或いは技術系商社等によるコンソーシアムの内側に居る ことが出来たからです。 今、様々な要因によりこの古典的セーフティネット構造が崩壊 しつつあり、中小企業自身が創造性を発揮して行かねばなりません。 我国には、優秀な技術や製品を有する多くの技術系中小企業が存在しますが、個々 の企業の活動だけでは自ずと限界があります。大企業系列における垂直関係から離れ て創造的に活動して行く為には、中小企業同士の水平協業或いは斜協業が必要です。 然しながら一口に協業と言っても、企業努力だけでは難しい面があり、そこに は協業を促進するコーディネータ役、それも技術に極めて強く創造力があり、システム開 発構想力、エンジニアリング力、さらに加えて、マーケッティング・販売、知財管理(主と して対国外)、サプライチェーン管理、財務、国際事業等にも精通している強力な専門家 集団であるべきでしょう。 そのバックボーンには、「和」、「共生」の様な日本人 の心がなければなりません。 最初は無理でも、その位強力な専門家集団が育つ必要 があります。 この様な高度な総合力を有する強力な専門家集団こそが、我国の優秀な技術を支え ている中小企業の能力を最大限に生かした創造的協業を生み出し、21世紀の日本を 支え世界に範を示してゆくものではないでしょうか。 ここで敢えて注書きを入れるとすれ ば、この専門家集団が新たなピラミッドの頂点に立つ様な意識を持たぬような倫理・哲学 的な規律が今後の社会システムの中に組み込まれている必要があることです。 ==================================== 3/24/12

総合知の活用で活力ある社会を実現

先日、 私が所属する非営利団体の一分科会が、今後の日本をどうするべきか、提言書を纏めた。その全文をこのブログに掲載する訳にはいかないが、ICT の切り口からどの様なことが出来るのか、近未来にありうる情景を短編小話風に書いてみた部分を以下に転載する。尚、提言書全文は、 南山会分科会ファイル に収められている。 =========00===================00==================00========== <総合知の活用で活力ある社会を実現> IT バブルの崩壊で明けた 21 世紀であるが、 IT (情報技術)の進歩は止まるところを知らない。それが真価を発揮するには、通信インフラが欠かせないが、東日本大震災で壊滅的被害を受けた通信設備も、電話や光回線等、基本部分は僅か 2 ヶ月足らずで復旧した。今後の復興過程では、更に堅牢で高機能な通信インフラが整備されていくに違いない。 IT で様々なものが繋がる巨大なネットワーク、そこには、広大な情報、知恵、多様な文化を持つ人々が存在する。今後、ネット上の情報発信者の数は急増するだろう。そして、発信される情報間の相互作用が始まると、とてつもなく大きな総合知、創造知が生まれる可能性がある。 我国発展の源泉は、従来もこれからも優れた人的資源と豊かな技術力である。 IT ネットワークは、そのパワーを増幅し日本国民が活躍する場を提供してくれる。今や携帯電話は一人に一台、しかも猛烈な勢いでスマートフォンが普及している。子供から老人までがネットにアクセスする時代であり、 IT に対する日本人の親和性は非常に強い。日本人の特質とされる高い受容性と応用能力に、東北人独特の粘り強さが相まって、 IT を高度かつ広範囲に適用すれば、被災地東北は以前より遥かに強くなり得るのである。今こそ、その潜在力を活用すべき時であり、それを為さねば彼我の競争力には大きな差がつき、我国は国際社会において著しく後れを取ることになるかもしれない。 我々はそのように考え、ここに IT がもたらす総合知を活用する為の、斬新な発想のアプリケーションの開発とその実証実験の実施を提言したい。最新 IT の活用が被災地復興・強化の一助となり、未来志向の産業のあり方を確立、魅力ある雇用を創出し大都市へ流出した労働人口を呼び戻し、新しい社会の...

日本の技術力

 昨日 11 月 1 日の Web 版 日本経済新聞 では「 日本企業の衰退、問題は円高にあらず   」と題して、過去の成功体験に拘り続ける我国モノづくり大手企業に関して論じている。  Web 誌 WIRED は、 iPhon4S に搭載された新しいアプリケーション「 Siri 」についてその使用感を述べている。 一見全く異なる視点の内容だが、何時もながら、そこに彼我の差を感じてしまう。  前者の日経記事を読んでいて、正にその通りであると思う。 米国では何故次々と新しい技術や製品が世に出てくるのだろうか。  我国大手企業経営者には過去の成功体験から、若手が考える新たな発想を摘み取ってしまうのではないか。 我国の技術者に創造性が欠落している等という事は決して無いと思うが、その場を与えられていない。  リスクはあるが人々の生活を変えるほどのインパクトのある製品開発に挑戦する事が出来る場をどの様に構築するのか。 我国の現状を考えると実現への道のりは遠く、多くの障害を乗り越えて行かねばならない。 今始められる事は何か、中長期的に為すべき事は、それらをすべて洗い出して、同時並行的に今なすべきこと、出来ることに着手して行かねばならない。  上述の「 Siri 」は、最近はやりの言葉で言うところの Game Changer となりそうだ。 音声で操作できるパソコン、携帯 PC 、そしてそれらが何れは話し相手にもなる可能性さえ有りそうだ。 何やら少し気味悪くもなるが、間違えなく、人の生活を変える有効な手段となるだろう。 11/2/11

分らぬままの日本の電力

  今このブログを書いている時点で稼働中の我が国の原子力発電設備は僅か17基、休止中の物は37基もあると云う。 原子力発電所は13カ月毎に定期点検の為休止する必要があるそうで、其れを再開する為には、その所在道県知事の許可が必要であると。 若し、今後総ての知事が、休止中の原発の再稼働を承認しないと、ほぼ一年後には我国の原子力発電所は総て止まるという事になるのか。 我国の電力の20-30%が原子力発電で賄われていると云う。   3・11以来、原発を使用し続けるのか、或いは脱原発なのか、漠然と語られているが、これからどうするのか。 真剣な議論が必要だと思うが、我々国民には本当の所が判らない。 即刻全原発を停止しても、日本の電力は困らないと云う論もある。 その場合、 2020年までに二酸化炭素排出量を対1990年比で25%削減すると云う国際的なコミットメントをどうするのか。 地球環境に対する影響は本当に考えなくてよいのか。   他方、原発は電力単位当たりのコストが安く、二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化を遅らせるには有効な発電方法だと云われる。 然し、福島第一原発事故による環境汚染とその後始末はこれからで、どの位の費用が 必要か正確なところは判らない。 このコストを考えた時に、原発により供給される電力は本当に安価と言えるのか。  万一原発に飛行機が墜落したらどうなるのか、素人にはその強度が分らない。  東日本大地震級を想定して我国の原発の安全性の再確認と補強をするという。 既存原発設備に相当の補強が行われるとしてその安全性をどの様に担保するのだろう。    再生可能エネルギーを発電の軸に据えると、現在の発送配電の地域独占体系を変えるべきたとの議論もある。 その時全体の管理体系は通信ネットワーク上に散らばる個々のコンピュータとその統合システムにゆだねる、つまりスマートグリッドを構築すればよいと。  再生可能エネルギーに期待は高まるが、未だ、たいして大きな電力供給源になるとは考えられていない。 現在の技術力と開発力、5年後、10年後、20年後の可能性はどうなのか。 嘗ての日本には、世界が驚愕するようなことを結構やり遂げてきたように思う。 エネルギー分野でもその底力を発揮できないのだろうか。 少なくともその可能性の議論をしても良いのではないかと思う。    海...

貿易依存度

「国際化」、古くて新しいテーマだ。 世界の其々の国ごとに、その時代の国際化がある。 今年2010年10月、菅直人首相が所信表明演説で、五つの重要政策課題の一つに「国を開き未来を拓く主体的な外交の展開」を挙げ、「・・・・天然資源・エネルギーや市場を海外に依存する我が国は、如何にして平和と繁栄を確保するのか。受動的に対応するだけでは不十分です。 国民一人ひとりが自分の問題としてとらえ、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなければなりません。その際、国を思い切って開き、世界の活力を積極的に取り込むとともに、国際社会が直面するグローバルな課題の解決に向け、先頭に立って貢献することが不可欠です。(以下略)」と云う。 昨年辺りから使われ始めた言葉、「第三の開国」(明治維新、第二次世界大戦敗北に次ぐ、三度目の開国という意味らしいが)を、念頭に置いているようだ。 世界銀行が発表した 2007 の貿易依存度(物品とサービスの輸出入合計額を GDP で割った数字)は、 33.5% で 169 位というデータがある。 我国の下には米国とブラジルだけがデータ算出可能な国として挙げられている。 過去の数値を眺めてみると、 2007 年が特に悪いわけではなく、 1990 年と 2000 年は其々 20.0% と 20.5% で世界 160 位と 180 位、又、12月14日付日本経済新聞のコラム「一目均衡」によると、最近(恐らく 2009 年)の数値は 22% となり、 175 位である由。 輸出入のバランスはどうか、同じ世銀の 2007 年のデータを読むと、日本の輸出、輸入の対GDP比は、其々 17.6% (世界 157 位) , 15.94% (世界 171 位)と余り大きな差は無い。 生憎、 1960 年 -1990 年のデータが手許に無く、過去50年間を俯瞰することは出来ないが、少なくとも直近 20 年で見る限り、総人口で世界の10位である我国の貿易依存率が如何に小さいか分かる。 ここ数年、内需拡大が叫ばれているが、我国の総人口曲線も減少に転じた。  現在の低い貿易依存度に甘んじつつ、慎ましく国内市場依存を続けてゆくのか、或いは我国歴史上類を見ない大きな飛躍を遂げて高度に良質な社会を構築して国内志向を維持して行くのか、或いは国内市場の延長としての海外市場を開拓して行く...

ものづくり日本の国際協業

  とても勇気づけられる。 昨日のNHK総合テレビ「NHKスペシャル 灼熱アジア 第4回『日韓中緑色戦争』」で紹介されていた大和化学工業という会社。 番組によれば、同社は、グリーンテクノロジー分野に於いて、中国北京大学と共同研究するプロジェクトを立ち上げた。 それも自社技術を無償提供し、更に寄付金(多分、研究開発費の一部とするのだろうが)も提供するという。 同社社長の発言として、「所謂チャイナリスクは、認識しているが、認識したからといって、歩みを止めることは出来ない」と。 心強い。      長期に亘る世界的景気低迷、他方勢いよく追い上げてくるアジア各国、日本国内市場だけでは存続し続けることが困難になってきている我国中小規模製造業が、其の困難を克服する幾つかの選択肢の中で、企業間提携による共同技術開発はかなり有力な手段の一つであろうと思う。 国内企業同士の協業のみならず、日本国の外に大きく広がる海外市場を見据えて、幅広く海外企業と協業を図ることは今後益々重要になる。 技術開発の分野でも例外ではない。 当初は困難が伴うであろうが、軌道に乗れば日本人の発想では見過ごしてしまうような斬新なアイディア、技術が生まれる可能性も大いにあると思う。       このような思いで、昨秋から、技術を有する我国中小規模企業紹介のポータルサイトANSListsに着手した。 " ANSList s"を覗けば該当する技術分野の殆ど全ての企業(中小規模・非上場)を見ることが出来る所まで作り込みたい。  一個人の作業故に限界はあるが、英語で情報発信を心掛けている企業を一覧できるサイト、可能な限り継続しつつ、海外における認知度を高める努力を続けて行きたい。      昨日のテレビ番組に登場した会社の存在は、"ANSLists"を作成する強い動機となった、我国技術系中小規模企業の国際協業を、ボランティアとして間接的に支援して行きたいとの思いに繋がり、感慨深く、又、大いに勇気づけられた。  11/15/10

日本の存在感

BSフジ午後8時からのプライムニュースが面白い。 本日の主題の一部をプライムニュースのウェブ上のスケジュール表(  http://www.bsfuji.tv/primenews/schedule/index.html  ) から引用すると、「 外交評論家の磯村尚徳氏と、大蔵官僚時代は国際金融の世界で活躍し「ミスター円」と呼ばれた青山学院大学教授の榊原英資氏に、政治・経済・文化などの面から日本の存在感・外交力・交渉力を高めるにはどうしたらよいのかを聞く」とある。 メモを取りながら番組を見ていたわけではないので、正確な記述は出来ないが、磯村氏と榊原氏の発言で印象に残ったキーワードを私自身の備忘録として以下に書き留めておく。 磯村氏曰く、発信力は、立ち居振る舞い55%、声を出す38%、内容7% (”声”と”内容”の比率は少々異なるかもしれない)。 米国海軍と日本の海上自衛隊は世界のトップ2で有ることを認識するべし。   海外港湾設備、海外企業などを買い付けるなど、 円高環境を戦略的に活用するべし。 榊原氏曰く、環境、安全、健康、世界のこれからを担う3大要素を全て持ち合わせる日本よ、もっと自信を持つべし。 今日米国のガイトナー財務長官がドルは強く有るべしと云い、若干円が下がったが長続きはせず、円は史上最高値79円75銭を必ず突き抜けて70円台前半まで行く可能性高い。 円高をもっと活用することを考えるべし。 円高を戦略的に活用するべし・・・例えば海外資産を買い付ける、積極的に海外進出を図るなど。 日本企業は外に出る以外に更なる成長はあり得ない。 約2時間の議論、とても興味深く視聴した。  10/19/10

GigaOM

GigaOM。。。この言葉は何だろう。 世界の技術革新を主導する人達と世界の潜在的な顧客企業や提携先、或いは投資家達とを結びつける事業媒体として設立された企業が GigaOM Network 。 そして、その代表的なブログサイトが2006年に開設されたGigaOMである。 ここには、分野ごとに7つのブログサイトが集約されている。 統括サイト" gigaom ", アップルのことだけを語る"theAppleBlog", クリーンエネルギーを語る"earth2tech"、クラウドコンピューティングに関することを書いている”STRUCTURE"、ビデオ関連のブログ”NewTeeVee"、等である。  現在世界のインターネット上には技術分野と新起業群に焦点を定めて情報を発信しているサイトやブログは、数多く存在する。 その中でも、GigaOMは、情報精度とその解析力、見識という点で一歩先んじているようだ。 CNN, ニューヨークタイムズ、ビジネスウィーク、ロイター等々、有名なメディアに専門的な立場における情報を提供しているとのこと。 我国、日本の新しい技術、技術を有する中小企業群を世界の市場、潜在顧客やパートナーと結びつける一助となりたい、思いは同じ ANSLists 。 孤軍奮闘では限界ある。 何とかしたい。 9/9/10

スマートグリッド革命

「スマードグリッド」、一昨年辺りから日本のメディアに登場し始めたように思うが、ITを活用し、電力の需要者(家庭やハイブリッド・電気自動車等)も供給者として組み込まれる電力網という程度の認識しかなく、そのイメージは漠然としていた。 数日前に友人から借りて読んだ本、「スマートグリッド革命」(加藤敏春氏著 NTT出版発行)が、もやもやを吹き飛ばしてくれた。  加藤氏が、著書の最後の部分で、「私はワグナーのファンですが、いま、華麗にして壮大なるオペラ劇の幕が開いたという感があります。 (中略) いま我々が聞いているのは、『スマートグリッド革命』のタンホイザー序曲』と言えるでしょう。」と記述しておらる通り、恐らく、著者ご自身もこの書物を書き進めながら、これからの展開に胸を躍らせておられたに違いないと思う。 故に、「スマートグリッド」を明確に且つ確実に定義するには時期尚早ながら、今後起こり得る様々な可能性や日本が採るべき選択肢を提示してくれる優れた書物である。  正に、「オペラ劇」のプログラムであらすじを追いながら、これからの展開にわくわくする思いで観るに似た感じを抱いた。 久しぶりに興奮を覚えた一冊である。 8/23/10

脱日入亜

1997年の経済危機で大打撃を被ったタイが、FTA促進と並行して日本など海外製造業を呼び込み、今や中国やインド、そして日本をも含むアジア地域の製造拠点として確固たる地位を築きつつある。 金型等に代表される日本の得意分野に於いても、タイの技術水準は日本を捉え一部には日本の水準を凌駕するところまできた。 そこには多くの日本の大企業、中小企業の現地進出と技術移転がある。  本日始まったNHK特集番組「脱日入亜」、第一回目の要点をこのように見た。 「ものづくり日本」何処へ、日産マーチもタイから輸入されるようになった。 知財移転の対価は知れている。 何が今後の日本を支えて行くのか、色々な思いが頭をよぎる。 8/22/10

国富を生かす

最近は、我国の国力の低下を憂いこれから何をなすべきかを論ずる報道が多く為されているが、一朝一夕に状況を改善する策が有ろう筈もなく、我々国民が意識 を高く保ち、現有資産を活用して直ちに出来ることに、果敢に挑むことが肝要であろうと思う。 折しも、 1 月 3 日付朝日新聞に 「知恵の引き継ぎが『革新』生む」というタイトルの文章が掲載された。 筆者は 慶應義塾大学環境情報学部専任講師である 神成淳司氏。  そこには、IT を 活用して日本独特の技を伝承し、磨きをかけて、付加価値を高めることを実践している事例が紹介されていた。 心強い限りである。 伝統技術や先端技術資源、観光資源、教育水準の高い人材等、現存する豊富な資源に加えて、世界トップレベルにある広帯域通信網とITインフラがこれらの資源に時空を超える力を与える。 現存する資源を有効活用する余地は無尽蔵にある。 1/8/10