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ものづくり中小企業間の協業と共創

 1990年以降長い間、我が国には、世界を変えるような革新的な技術や製品が生まれる環境が整っていないと言われ、 「破壊的創造」や「イノベーション」の必要性も言い尽くされた感がある。 では、その言葉自体も古びてあまり使われなくなった今、果たして、日本は変わったのだろうか。否、IoTとかAIという新しい言葉が表れて来てその応用面における議論や新たなサービスに関する話題はにぎやかになってきた。  しかしながら、我が国は 相変わらず 新しい技術や製品・サービスをもって世界に大きな影響を与えるような状況に至っていないのは残念なことである。 なぜそうなのか、多くの論者がその理由を語り様々な提案をされているのでここでそれを復唱するつもりはない。  今から5年程前に、東日本大震災のあった年、筆者が属するチームの仲間たちと【 東日本大震災復興以降ー新しい社会の創生へ向けて 】というテーマで小論をまとめたことがある。その小論の中で筆者は「総合知の活用で活力ある社会を実現」と題して、情報通信技術(ICT)を活用した「智のプラットフォーム」を前提に、「ものづくり」、革新的な技術・製品・サービスの発掘、人の生活などの点描を試みた。  当時を振り返り検証するという名目で、今年、2016年5月より5回連載で月刊誌「BigLife21」が、その小論を掲載してくれた。同拙文の中で、ものづくり中小企業が連携し共創を試みることにより、中小企業ならではの短い期間で素晴らしい物を生み出すことが出来るのではないかと書いた。この考えは今でも変わらず、是非実現に向けて動き出してほしいと思う。 「BigLife21]2016年7月号に掲載された拙文を下記に添付しておく。また、同文が「BigLife21」のウェブサイトにもアップされている。URLは 此方。

製造業の存続

昨日(10月3日)付け東京新聞朝刊 7 面に掲載されたコラム記事(斉藤保伸氏記ーーー当該記事は本文下段を参照)、「シンセサイザー製造活気」というタイトルで、「 YMO やスティビー・ワンダー さんなど、世界の著名ミュージシャンが愛する米シンセサイザーメーカーの『モーグ』が経営難を抜け出し、活気を取り戻している。」とある。  同社( モーグミュージック社: Moog Music Inc . )では、従業員を大切にすることを心がけ、ベルトコンベアもなく手作りでシンセサイザーを組み立てている由。同社社長が米国国内生産にこだわる理由は、「生産する楽器に日々、改善を加えることができること」とし、「中国などの海外に工場を移しても人件費削減の影響は小さく、製品の改善がストップすることのほうがマイナスと判断し、国内に製造拠点を置いて経営改革に取り組む」という。同社は非上場企業だが、同社株式の 49 %を従業員に譲渡し、また、すべての経営情報を開示する経営会議を毎月開催、全従業員で共有、経営の透明性を高めて最近 12 年の平均売上高は対前年比 2 割増しで推移しているとのことだ。  世界市場において確立したブランドを持つ企業、モーグミュージック社のような経営スタイルがすべての企業に当てはまるわけではないだろうが、我が国製造業が学びなおす点は多い。あえて、「学びなおす」と記述したが、「従業員を大切にする」、「日々製品に改善を加える」、「従業員持ち株制度」などは、かつて日本企業の特徴を表す言葉であったように思うからだ。 米国のいくつかの州では、時間当たり最低賃金が数年以内に 15 ドル( 1 ドル 120 円換算で 1800 円 / 時)となる見通しで、2020年には全国規模で適用する動きが顕在化しているとのことだ。 対する我国は東京地域でも 900 円強とのこと。 それでもさらなる低賃金を求めてか、海外に製造をゆだねる企業も多い。結果として国内雇用を減らすのみならず、製造技術の流出・喪失にも繋がる。ここでは、企業の在り方を論ずるつもりはないが、日本の製造業の存続と発展の要件をじっくりと考えてみる必要がある。 2015年10月3日付け東京新聞朝刊7ページ

「美しい国、日本」

  「美しい国、日本」、人それぞれ多様な解釈があると思う。 私も含めて多くの人々は、その言葉の響きから、豊かな自然と文化に囲まれて、人々が暮らしやすく質の高い生活を営む国というイメージを脳裏に浮かべるではないか。     平成 25 年 10 月現在の日本はどうだろう。 東京都心では覇を競うように高層ビルが続々と建設されているが、 宅地には未だに電柱が立ち並び、上空にはクモの巣の様に電線が走る。 狭い道路を人や自転車が触れ合うほどの状態で行き交う。 ラッシュアワーの時間帯に踏切で 10 分待たされることなどは、 50 年一日の如しの感がある。社会保険の適用条件が徐々に厳しくなり国民に変化を強いている。 最近は特定機密保護法案と称する法律が成立する勢い、我が国はその昔にタイムスリップしつつあるのではないかとの危惧感も頭をよぎる。  オリンピック招致に成功し、「おもてなしの心」が強調されることが多くなってきた。 あえて「おもてなしの心」と言わなければならない時代に息苦しさを覚えるのは私だけだろうか。 教育問題もある。 地方法人課税も見直されて一部国税化されるそうだが、つい先ごろまで声高に謳われた地方分権の強化に逆行しているように思う。   1970 年代後半、米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏著による「 Japan As Number One 」で浮かれたこともある 然し、その後の我々は、「失われた 20 年」そして未だに「停滞する 20 余年」でもたもたしている。この間の世界の変貌は凄まじく、 今や中国は世界第二位の経済大国。 電子機器産業も韓国、台湾が世界市場で活躍している。中国ハイアールの躍進も目覚ましい限りだ。 ならば、日本もかつての勢いを取り戻すべく従来の土俵で力をつけて挑戦するのだろうか。 企業活動を活性化することはとても大切なことだが、従来の様な大企業主導ではなく、今こそ、そこここで芽生え始めている草の根技術開発を育てて行く、中小企業の有する底力を引き出すことが重要だろう。 これにより我が国は、従来と異なる新たな企業活動分野を構築するべきだと思う。    様々なことが脳裏に浮かび取りとめない思いに駆られていたら、先日 10 月 18 日東京新聞夕刊にJT生命誌研究館館長中村桂子氏が「日本は先進国なのか・・・自分らしい生き方...

創造力と活力の源泉となる場を設ける・・・

イスラエルの人口は僅か780万人程度だがそこには、数多くのベンチャーキャピタル( VC )があり、優れたアイディアと技術を有する若い企業が世界に羽ばたいて行く。  その数ある VC の中でも最大手の一つ JVP Fund 、そのエルサレムに本拠を構える VC としての機能を包み込むように、 JVP Media Quarter がある。  JVP Media Quarter は、 JVP Fund の創業者 Erel Margalit 氏が、技術、創造性、社会活動の融合を実現し興奮に満ち活力に溢れる場を設けようと、 2002 年にその構想を描き、翌年からその実現へ向けて動き出した。  2006 年には英国統治時代に建てられたビルを改修し、エルサレムの旧鉄道駅周辺の活性化も実現する大がかりな作業に着手、 2008 年に現在の姿が完成した。 そこにはバウハウス様式の美しい姿のビルがあり JVP Fund, JVP Media Labs, JVP Community がある。  JVP Fund は文字通りベンチャー企業に対する資金的支援がその業務、 JVP Media Labs は生まれたての企業を育てて行くインキュベーションをその主たる業務とし、そのもとに集まる多くの若い企業が JVP Media Quarter 内に事務所を構える。 そして JVP Community は、何某かのハンディキャップを有する子供に対する教育上の支援、社会生活の為の予備的支援、それらの子供の親たちに対するアドバイス等広く考えられたプログラムの提供、若い音楽家、芸術家の表現の場所などが提供されている。 驚くべきことは、 JVP Media Community の実質的な活動が徴兵前の若者によるボランティア活動により支えられているという事だ。 この様に、若い企業が生まれる環境を作り、育て試験的支援を行う一方、ハンディキャップを有する、潜在的な社会的弱者を子供の時から支援して行くシステム、 JVP Media Quarter の資料を読んでいて、今こそ日本にもこの様な仕組みが必要ではないかと、つくづく思う。  おりしも、 7 月 15 日朝日新聞朝刊「ザ・コラム」に渥美好司氏(朝日新聞福島総局長)が専修大学広瀬教授の言葉として「希望のある社会とはどの様なものかを想像...

企業間水平分業・協業へ向けて

下記は、21世紀 の日本が取るべき道の一つではないかと思っています。 未だ漠としたアイディアの段階ですが実現へ向けた試行 実験をするところまで、もって行きたいものです。 ==================================== 最近まで我国技術・製造にかかわる企業はその大半である中小企業も大企業に寄り 添う事で比較的安泰な時代が続いておりました。 それは主に、大企業が率いる系列、 或いはエンジニアリング会社或いは技術系商社等によるコンソーシアムの内側に居る ことが出来たからです。 今、様々な要因によりこの古典的セーフティネット構造が崩壊 しつつあり、中小企業自身が創造性を発揮して行かねばなりません。 我国には、優秀な技術や製品を有する多くの技術系中小企業が存在しますが、個々 の企業の活動だけでは自ずと限界があります。大企業系列における垂直関係から離れ て創造的に活動して行く為には、中小企業同士の水平協業或いは斜協業が必要です。 然しながら一口に協業と言っても、企業努力だけでは難しい面があり、そこに は協業を促進するコーディネータ役、それも技術に極めて強く創造力があり、システム開 発構想力、エンジニアリング力、さらに加えて、マーケッティング・販売、知財管理(主と して対国外)、サプライチェーン管理、財務、国際事業等にも精通している強力な専門家 集団であるべきでしょう。 そのバックボーンには、「和」、「共生」の様な日本人 の心がなければなりません。 最初は無理でも、その位強力な専門家集団が育つ必要 があります。 この様な高度な総合力を有する強力な専門家集団こそが、我国の優秀な技術を支え ている中小企業の能力を最大限に生かした創造的協業を生み出し、21世紀の日本を 支え世界に範を示してゆくものではないでしょうか。 ここで敢えて注書きを入れるとすれ ば、この専門家集団が新たなピラミッドの頂点に立つ様な意識を持たぬような倫理・哲学 的な規律が今後の社会システムの中に組み込まれている必要があることです。 ==================================== 3/24/12

日本人は程良いか・・

創造的で指導力を発揮する人は独りで熟考する。 創造力と生産性を高めるにはグループで協働が大切というがこれもまた真なりと。 このスピーチは、グループ協働を暫し止めて、独りで未開地(日本的には山か洞窟?)にこもり、暫し自分を見つめみる事を勧めると結んでいる。 そして話す時はソフトに静かにと。 3/3/12

総合知の活用で活力ある社会を実現

先日、 私が所属する非営利団体の一分科会が、今後の日本をどうするべきか、提言書を纏めた。その全文をこのブログに掲載する訳にはいかないが、ICT の切り口からどの様なことが出来るのか、近未来にありうる情景を短編小話風に書いてみた部分を以下に転載する。尚、提言書全文は、 南山会分科会ファイル に収められている。 =========00===================00==================00========== <総合知の活用で活力ある社会を実現> IT バブルの崩壊で明けた 21 世紀であるが、 IT (情報技術)の進歩は止まるところを知らない。それが真価を発揮するには、通信インフラが欠かせないが、東日本大震災で壊滅的被害を受けた通信設備も、電話や光回線等、基本部分は僅か 2 ヶ月足らずで復旧した。今後の復興過程では、更に堅牢で高機能な通信インフラが整備されていくに違いない。 IT で様々なものが繋がる巨大なネットワーク、そこには、広大な情報、知恵、多様な文化を持つ人々が存在する。今後、ネット上の情報発信者の数は急増するだろう。そして、発信される情報間の相互作用が始まると、とてつもなく大きな総合知、創造知が生まれる可能性がある。 我国発展の源泉は、従来もこれからも優れた人的資源と豊かな技術力である。 IT ネットワークは、そのパワーを増幅し日本国民が活躍する場を提供してくれる。今や携帯電話は一人に一台、しかも猛烈な勢いでスマートフォンが普及している。子供から老人までがネットにアクセスする時代であり、 IT に対する日本人の親和性は非常に強い。日本人の特質とされる高い受容性と応用能力に、東北人独特の粘り強さが相まって、 IT を高度かつ広範囲に適用すれば、被災地東北は以前より遥かに強くなり得るのである。今こそ、その潜在力を活用すべき時であり、それを為さねば彼我の競争力には大きな差がつき、我国は国際社会において著しく後れを取ることになるかもしれない。 我々はそのように考え、ここに IT がもたらす総合知を活用する為の、斬新な発想のアプリケーションの開発とその実証実験の実施を提言したい。最新 IT の活用が被災地復興・強化の一助となり、未来志向の産業のあり方を確立、魅力ある雇用を創出し大都市へ流出した労働人口を呼び戻し、新しい社会の...

議論を重ねて国民の総意で決めてほしい

これからの電力をどの様にして賄うのか、電力消費量を減らすことを前提とした社会に移行するのかなど、日本は今重大な判断を迫られている。 これらのことは、一部の”専門家”の提言だけで決めるのではなく、国民が充分納得し得る手段をもって決定して欲しいとの思いから、先日朝日新聞に投稿した内容をここに備忘録として貼り付けておく。 2011年7月18日朝日新聞朝刊「声」欄 7/19/11