国富の程度をGDPだけで表すことが果たして妥当かどうかという議論を脇において、2000年以降2023年までの世界の一人当たりGDPの推移を眺めてみると経済面における我が国の凋落ぶりが実によくわかります。2000年から2022年の間に多少の凸凹はありますが日本の一人当たりGDPの値の世界における順位は下がり続けており、昨年(2023年)末に内閣府が発表した2022年の一人当たりの名目国内総生産(GDP)はドル換算で3万4千ドル強でOECD加盟国中21位、G7(先進7カ国)で最下位となっています。それもそのはず、一例を挙げれば、日本の一人当たりGDPは過去20年余りの間ほぼ横ばいですが、米国はこの間ほぼ2倍になっています。どうしてこうなるのか、世界をリードするような新しい技術や製品を出せない、社会全体のディジタル化が進まない、少子高齢化に伴う労働人口の減少、これらによる一つの結果でもある為替レートが大きく円安に動きつつあるなど様々な原因が挙げられていることは本ブログをお読みいただいている方々ご承知の通りです。
一人当たりGDPを増やすにはどうすればよいか、活発な議論はありますが実効策がなかなか見つからない中で、各企業の生産効率を上げるべしと声高な論があり、そのためには先ず「給与を挙げよ」との声が強まり、我が国首相自らが経済団体に対して給与を上げる努力をするように強く要請してきました。その成果が表れたのか、今春(2024年)の大企業に於ける昇給率は数十年ぶりに大きく上がりました。中小企業に於ける昇給率はまだまだこれからというところのようですが。。。
一人当たりGDPを増やすにはどうすればよいか、活発な議論はありますが実効策がなかなか見つからない中で、各企業の生産効率を上げるべしと声高な論があり、そのためには先ず「給与を挙げよ」との声が強まり、我が国首相自らが経済団体に対して給与を上げる努力をするように強く要請してきました。その成果が表れたのか、今春(2024年)の大企業に於ける昇給率は数十年ぶりに大きく上がりました。中小企業に於ける昇給率はまだまだこれからというところのようですが。。。
では給与を上げさえすれば生産性は上がるのかという点が、本ブログのポイントです。給与が上がれば確かに個々人の消費、経済活動が活発になり一人当たりのGDPも増える可能性が高く、生産性を上げる有効な要素の一つではあると思います。 しかし、ここで、生産性が上がるということは、生産品質をきちんと維持できているということを前提としなければなりません。具体例を挙げれば、製品やシステム品質、それらの据え付け工事サービス品質などを疎かにすることで、製品の無償交換や工事サービスの無償提供が発生することとなりこれらは生産性に対しては負の効果をもたらすはずです。 かつて日本製のものは故障が少なく高品質である点が非常に高く評価される時代がありました。当時の「高品質」といういわばブランド力は未だ通用しているようですが、徐々に弱まってきており、特に21世紀に入ってから顕著になりつつあると感じます。一言で言ってしまえば、「売上・利益至上主義」と屋上屋を重ねるような様々な規制やルールが蔓延しつつあることが、大きく品質を結果的には生産性を損なっているのではないでしょうか。繰り返しになりますが往時の日本製品・サービスレベルは世界的にも高い評価を受けていたと認識しています。日本の生産品質を取り戻す努力なくして給与を上げ続けることはできないと思うのですがどうでしょうか。
生産品質向上にはどうすればよいのか、かつて日本の企業で盛んに実施されたQC(品質管理)やZD(欠陥ゼロ)運動を現代の環境を念頭に見直してみることは重要だとは思いますが、QCやZD活動だけではなくもっと広く深いところ、例えば数多くある様々な商慣習や規制、複雑な安全基準、あるいは会計基準、経営倫理と経営判断、社会通念と倫理観、教育システムと教育者の尊厳順守、などなどを考察し必要に応じた変革が求められるのではないでしょうか。決してトップダウンや統制的な手法ではなく民主的な手段をもって進められる必要があることは言わずもがなでしょう。言うに易く行うに難い感がありますが、政治家だけにゆだねることではなく、国を挙げて取り組むべき課題だと思います。
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